舞台裏のダイコンたち after
東京で演劇活動を行っている大沢ギンペイのブログです。趣味とか演劇とかいろいろと。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
サイコーな作品と達人の合気道
 うおああああああ!!

ミツイ「どうした?」

 俺、花札覚えるよ!! でもって袴っ子美少女アバターとともに世界を救うよ!! 『こいこい』!! あんどカモンマイアバターキングミツイ! ウサ耳イケメンに改造して少林拳でぐはぁっ!!

ミ「落ち着け。」

 ……はい……。

ミ「『サマーウォーズ』を見てきたんだな?」

 はい……。

ミ「面白かったか?」

 とても!

 ……というわけで、観てきました。『サマーウォーズ』。いやはや。圧倒的。期待以上。

 以下の文章には、映画『サマーウォーズ』のネタバレが含まれます。ご了承ください。

 今回の文章で何が言いたいかっていうと。

 ミ「うむ。」

 よくできた物語は、達人の合気道と同じだと思うんだよね。

ミ「はぁぁぁ!?」
 物語のオーソドックスな構造っていうのは「欠落を抱えた何者かが、欠落を埋める」っていう風に出来てるんだよ。
 別の言い方をするなら、「登場人物たちが、願望を達成するために足掻き、考え、行動する」っていうこと。
 その構造が出来ていれば、「物語」は成立する。

ミ「うん、それはまぁ、分かる。」

 この件に関しては、別口で記事を書く予定の『エヴァンゲリオン・破』感想に譲るとして。
「物語」を作るには、「願望を持ち、そのために動く登場人物」を描ければ充分だ。しかし、「面白い物語」になるには、それだけじゃあ足りない。

ミ「……それは?」

「感情移入」ってやつだ。いろんな表現がなされるけど、「観客を引き込む」とか、「共感を呼ぶ」とかも言えるな。

ミ「その『感情移入』って言葉が気に入らないんだよ。物語を観てて、自分が主人公であるような錯覚を起こすようなことは、実際にはないだろう?
  あくまで観客は『観客』として物語を観ている。『感情移入』ってのは絵空事に思えて仕方ないんだがな。」


 うん。実際、どんなに面白いと思える作品をみてても、俺はモニタの前にいる自分や、本を広げている自分の存在を曖昧に感じたことはない。
「自分が主人公であるように錯覚」なんてまずあり得ないんだよな。
 しかし、「つまらない」と感じる作品とは、なにか距離感が違う。作品がつまらないと、「あ~はいはいそうですか。」と、登場人物に距離感を置いていているのを感じる。
 ……と、そこまで考えてハタと気付いた。
「感情移入」っていうのは、「登場人物の気持ちに、観る側の気持ちが左右される状態」なんじゃないかと。
 実は前にも書いたことがあるんだけどな。
 別に、登場人物が喜んだことに喜び、悲しんだことに悲しまなくても構わない。
 登場人物のことを憎たらしく感じているのなら、苦しんでいるのをあざ笑うんでもいいし、保護者のような気持ちで観ているなら、成功に浮かれるのを心配してもいい。
 作り手の思うがままに観客の心を動かせるなら明らかに「成功」だし、観客が「振り回され」て、登場人物に怒り、悲しんだことに快感を覚えるなら、その作品は「面白い」ってことになる。
 つまり、作品内の出来事に、観客が「ムキになってる」状態を作り出すことが、「面白い物語」には必須なんだよ。

ミ「『ムキになってる』か。その表現が、一番分かりやすいかもしれないな。」

 この作品を観てまず驚愕したのは、前半のクライマックスで、たかだか20分くらいしか見ていないおばあちゃんの大活躍を、目一杯「ムキになって」見させられていたことなんだよな。
「ばあちゃん、流石だぜ!!」って。
 同時に、「なにが『流石』なんだろう。俺、このおばあちゃんのこと何も知らないのに」と思ってた。
 多分、映像作りの巧さによるサブリミナル効果が成功してたんだと思う。

ミ「サブリミナル……無意識への刷り込みか。」

 ああ。問題のおばあちゃんがどれだけ骨太な人生を生きて来たのかなんて、観客はまだ知らないし感じてない。
 ところが。90年の人生が生み出してきた貫禄と人脈を最大の武器に日本を救うハイライトシーンでは、ず~っと、あるものが写され続けていた。

 それは、筆跡の違う薄汚れた手紙の山と、おなじく山ほどの白黒写真。
 俺たちは否応なしに、彼女が画面の外に抱えている「世界」の広さを感じてしまうわけだ。
 物語の序盤にもかかわらず、おばあちゃんの大活躍に興奮させられている自分に気付いた時、「ああ、手玉にとられたな」と感じたよ。
 そして、師匠に投げ飛ばされる感覚を思い出した。

ミ「ついに出たな。『合気道』とのつながりが。」

 師匠に接触すると、師匠はただの半歩移動して、手を少し上下させるだけで、完全にこちらの重心を浮かして来るんだよ。
 言うなれば「死に体」の状態。肘も伸びきって、煮るなり焼くなり投げるなり潰すなり好きにされちゃう状態。
 俺が技をかけようとしても、相手の手をさんざんこねくり回して動き回って、まだ相手は安定しちゃってるのに。
 たったの20分で完全に引き込まれてるあの感じは、師匠に投げられる感じによく似ていた。

ミ「つまりあれか。合気道でも作品作りでも、巧い人は最少の手数で、相手を『好きに出来る状態』に持ち込んでいると。」

 そういうこと。
 一度引き込まれてしまって、しかもあんなにズドンズドンと盛り上がるシーンを挿入されれば、もう興奮するしかない。
 興奮のあまり笑い出しそうになるのを、映画館で何度もこらえたよ。
 ってか劇中に登場するスパコン、ウチの会社のじゃねぇか!!(笑

ミ「最後に一言。」

 噂にたがわず、佳主馬キュン、サイコーです。
『佳主馬キュンは男の子』という前情報がなければ、イチコロだった。

ミ「でもさ……」

 うん?

ミ「シネコンで、入る部屋を間違えて、冒頭見逃したんだよな。」

 言うな! 畜生! 明日イチから見直して来るよ!
(ギンペイ)
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
copyright © 2005 舞台裏のダイコンたち after all rights reserved.
Powered by FC2ブログ.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。