舞台裏のダイコンたち after
東京で演劇活動を行っている大沢ギンペイのブログです。趣味とか演劇とかいろいろと。
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公演終了から一夜明け
 朝、起きた時、まだ疲れが抜けきっていなかった。
 昨日は公演に次ぐ徹夜の片付け作業で気力・体力ともに限界だったところに、夕方から打ち上げにまで行ってしまったのだ。当然と言えば、当然か。
 とにかく、片付けまで含めた公演の全てが、昨日終わった。
 まっさらなノートとシラバスを鞄に放り込み、家を出た。7月以来、ゼミ以外の授業に出席するのは、今日が初めてだ。

 10時半から昼までの2限に出席するつもりだったが、家をでたのがゆっくりすぎた。到着するのは、昼前になる。
 通勤ラッシュがとっくに終わった電車の中でうたた寝しながら、夢とも言えないような夢を見た。

 首を前に垂らした居眠りの姿勢で、私は目をつむっている。周りのことは見えちゃいないが、状況はよく知っている。
 自分は今、駒場の練習会場で、椅子に腰掛けているのだ。居眠りの姿勢なのは、休んでいるだけだ。周りに電車の乗客なんていない。いるのは、公演のメンバーたちだ。
 頭が一所懸命、今後の見通しを練っている。

 公演までは、あと何日あっただろうか。

眠りが浅くなって、これが夢であるのを自覚するたびに、公演は終わったのだと、夢を打ち消す。けれど、完全な覚醒を挟まない夢は、なかなかしぶとかった。

 今日は誰が練習に来るんだろうか。どのシーンを練習すべきだろうか。昨日練習したのは、どこだったか。下田君、どうだったんだっけ?

 目を開けて声をかけようとして、また気付く。
 これは、夢だ。私がいるのは、電車の中だ。なんなら、確かめてみようか?

 頭を下げたまま、ちらりと片目だけを開く。見えるのは、電車のシートと数人の脚。ほら、やっぱり電車の中だった。

 公演は、もう終わったんだ。

 夢は、意外と余韻を残さない。今日の夢だって、見たことを覚えておこうと強く思ったから、たまたま、おぼろげに覚えているだけだ。駅に着けば、私は普通に歩き出す。

 さっきまで受けていた授業は、面白かった。好きな教授の授業だったというのもあるが、なにより、講義から離れていた頭が、栄養としての授業を求めていた。演劇以外の頭の使い方もしたかった。

 授業が終わって席を立ったとき、何度も何度も確認したことが、再度頭に浮かんだ。

 もう、公演は終わったんだ。

 授業が終わったからといって、本郷から駒場に向かうことはないんだ。

 睡眠不足の中、必死で起きて演技を確認することも無い。
 パソコンの前で脚本を直す指が止まり、悲鳴を上げたくなることも無い。
 演出方針について、メンバーと衝突することも無い。
 役者の練習量不足を痛感しながら、改善へのキーワードを必死で探すことも無い。
 プレッシャーに悩まされ続け、練習へ向かう足が止まり、しゃがみ込みそうになる中で、壁に寄りかかって呼吸を整える必要も無い。

 平台にのっかり、暗幕にくるまって眠ることもない。
 会心のフレーズを見つけて、自室で一人膝を叩くことも無い。
 メンバーと最高の共感を勝ち取った喜びを感じることも無い。
 いつの間にかすっかりキャラクターが染み付いている役者に、驚くことも無い。
 お客さんの反応にドキドキしながらもワクワクしながら、舞台袖で開演を待つことも無い。

 お客様に、「お疲れさま、今日の芝居は良かったよ。」と言ってもらえることもない。

 お礼を言わなきゃ。
 いつもと同じフレーズしか使えないけれど、私には何度でもお礼を言う義務がある。
 だから、お礼を今ここで、言わせてもらう。

 あの芝居には、私が、私の能力で込められる全てを込めました。
 ずっとついてきてくれた仲間たち。
 手伝ってくれたOB・OG。
 手を貸していただいた、他劇団の方々。
 そして、見に来て下さったお客様。

 お世話になった全ての方へ。

 ありがとうございました!!
(ギンペイ こと、作・演出 飯田真人)
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コメント
この記事へのコメント
お疲れ様です[絵文字:v-289]
公演お疲れ様でした。
学生演劇って本当にいいよね~
青春って感じでe-252
2006/10/23 (月) 21:22:36 | URL | ごう #-[ 編集]
わかりますその気持ち
僕も図書館や購買部のほうに行く度に小空間のほうを見てはなんだか切ない気分になります。
2006/10/24 (火) 21:56:00 | URL | 下田 #-[ 編集]
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